京都のヨガ教室 アルジュナヨーガ研修会では主宰の渡辺昧比が佐保田鶴治先生に師事して学んだ『佐保田ヨーガ』をベースに、心身の癒しを深める指導を行っています。

  アルジュナヨーガ研修会
お問い合わせ アルジュナヨーガ研修会サイトマップ アルジュナヨーガ研修会
HOME アルジュナヨーガ研修会 ヨーガへのいさない アルジュナヨーガ研修会 プロフィール アルジュナヨーガ研修会 ヨーガに関心のある方へ アルジュナヨーガ研修会 教室のご案内 アルジュナヨーガ研修会
アルジュナの樹に集う仲間たち アルジュナヨーガ研修会 アルジュナニュース アルジュナヨーガ研修会 エッセイ アルジュナヨーガ研修会 受講生の声 アルジュナヨーガ研修会 一日体験 アルジュナヨーガ研修会
 
エッセイ
 
 
渡辺昧比

「季節のエッセイ」

アルジュナヨーガ研修会代表、
渡辺昧比の季節のエッセイをお届けします。

≪脱成長≫

この3年悩まされたコロナ禍は、未だに感染者はゼロにはならないものの、死亡者数減少に伴い、レストランや劇場、スポーツ施設をはじめ多くの場所では、「マスクは個人の判断」に任されるなど、緩和の方向へと動いています。この3年間で学んだこと、気づいたことを振り返ると、あるキーワードが浮かび上がります。それは、『脱成長』『つながり』です。

『脱成長』とは、飽くことなく成長を駆り立てるような社会、その弊害がどんどん膨らむ社会に対して、「これからは経済的なスピードを少し落とし、結果、弊害も少なくし、さらには人としての楽しみや喜びをはぐくむ生き方を目指そう」というもので、その可能性は、「ブエン・ヴィヴィール よく生きる」の実現運動として見直され、世界的に拡がりつつあるといわれています。『人新生の「資本論」』などで著名の斎藤幸平東京大学准教授や『反・幸福論』の佐伯啓思京都大学名誉教授方が各方面で主張されています。
先生方の主張について私は「なるほど!」と思いますが、一方では、「暑ければ、エアコンをつける前に、窓を開けて風を入れるという発想のない現代人に、果たして<脱成長>の実践ができるだろうか?」という素朴な疑問を感じます。この点について、佐伯教授は「<知足>足るを知るという日本人本来の知恵を取り戻そう」と言われています。これも大変すばらしい考えですが、「その実践はどこまで可能か?」と正直思います。

この点について、話は変わりますが、私たちが行っているヨーガは、<ヨーガ禅>(佐保田ヨーガ)と言われ、「内面を観察する」という、<動禅>動くメディテーションとしてのヨーガです。要所要所で意識を内面に向けるので、実践するにつれ、自然に自分の体に対して、存在に対して「有難う」という感謝の念が沸き起こってきます。「感謝の気持ちが大切」「有難うという言葉を日常的に使いましょう」とはよく言われることですが、自然に、自分の中から「有難う」が湧き出ることは何より素晴らしいと思います。この自然な<感謝>の気持ちが、<知足>に繋がり、「今、こうしていることがありがたい」「私は私でよい」と同時に「あなたもあなたでよい」と、自己肯定や違いを認める心理状態を育みます。それは自然に<脱成長>へ繋がると考えられます。

■古代インド思想
さて、<脱成長>に話を戻しますと、<脱成長>は、この時期だけの特別な発想ではありません。歴史を紐解くと、古代インド思想が浮かびます。
歴史が始まった頃は、思想としても、宗教としても素朴な時代があり、人間としての基本的な欲望、願望を満たすための方法が模索されました。
この願いは、最初、病む箇所に手を当てたり、日照りが続くと雲一つない青空に向かって嘆息をつくような個人的レベルから、次第に特定の人による呪術によって、夢や希望をかなえようとします。特定の力ある人、シャーマンが、登場し、そのシャーマン個人の霊力と、独特の呪法によって、人々は、願いをかなえるようになるのです。
紀元前五世紀頃になると、この呪法は次第に、整理され、祭式至上主義時代に入ります。祭式をとり行なうのは、この時代、新しく勃興してきた祭官詩人、(中でも専門のバラモン)で、供犠、言葉など一つ一つが決められ、呪術者の力量、パワーよりも、祭式方法そのものに、次第に重点がおかれます。
こうして人々は、病患やあらゆる種類の災厄を回避でき、その上、所願の品を手に入れました。では、このような祭式至上主義で、人々は、幸福になったのでしょうか?病気やケガが治り、欲しいものが手に入ると、誰もが、ほっと一安心します。しかし、それは永遠に続く喜びではありません。手にした喜びは、すぐに次の欲求をかき立てる刺激剤となるからです。これでは、喜びが、喜びでなく、苦しみの原因にもなります。
祭式至上主義は七世紀頃まで続きますが、次第に、人々は、この矛盾に悩むようになります。欲望、願望とは何か?そのような欲望、願望を持つ自分とは何か?人間とは何か?こうして時代は、祭式至上主義から、神秘思想へと移行します。人々に一時的な繁栄と福祉をもたらす祭式の実行よりも、人を解脱に導く哲学的知恵<神秘思想>の方が重要と考えるようになったのです。

■ヨーガへ
その後、いくつかの具体性を持った方法論が生まれました。ヨーガもその一つです。ヨーガは、瞑想はもちろん、アーサナ、クリアにおいても、「内へ向かう道」であることに変わりありません。
ここで私達は、対象を外に求めている限り、小さな自分にとらわれている限り、苦しみはなくならないことを、古代インド思想を通して知ることができます。そしてその苦しみから解放される重要な行法の一つがヨーガであることも、歴史は教えています。
一つの方法論として、ヨーガを行なうことによって、人間としての成長、より幸せな道の模索も、可能となるのです。私達は、子供がおもちゃのとりあいをしているのを笑いながら、一方では、他の『おもちゃ』のとりあいに一喜一憂していますが、もうそろそろ、子供時代の精神状態を卒業して、自分の内部への道を歩み始めてもいいと思うのは、私だけでしょうか?
ここで言う自分の内部への道とは、決して人々から孤立した場所ではなく、人間としての成長をめざす人々との出会いの場、もう一つのキーワード『つながり』の場でもあるに違いありません。

2023年7月1日

< 最新のエッセイに戻る

[皆既日食]
ヨーガの一番の目的は、心が変化することです。自然との一体感や宇宙意識の体験は、その人の内面を深め、その後の人生を豊かにします。

 
 
一日体験 アルジュナヨーガ研修会
 
ネットヨーガ・DVD販売 最も基本のレッスンプログラムです。データおよびDVDをご購入いただけます。
 
教室のご案内 アルジュナヨーガ研修会
京都リビングカルチャー倶楽部 アルジュナヨーガ研修会
JEUGIAミュージックサロン四条 アルジュナヨーガ研修会
JEUGIA フォーラム阪急洛西口
 
アルジュナニュース アルジュナヨーガ研修会
最近の活動のお知らせ アルジュナヨーガ研修会
 
 
 
Copyright©アルジュナヨーガ All Rights Reserved. アルジュナヨーガ研修会